レイン菅原図書

自作小説の公開

 

 

 

自作小説です!。お時間の許せる方、ぜひ一読下さい。

傷だらけのペリドット

昭和22年4月、宮城県富米市津山町を通る県道東浜街道45号線の舗装道路工事が完成して、その記念を祝しての行事を兼ねて、県は5Kmのマラソン大会と称した競技を催そうとしていた。当日朝、まだ真新しいその道を二人の女子中学生が歩いていた。二人は、同じ横山に住む民家の隣同士の娘達だった。「でも、本当に賞金で20万円なんてもらえるのがな?」ちょっと背伸びをしながら、菅原妙子は隣の小泉安代に言った。「俺は、ちゃんと橋本先生に聞いただよ!」空を見ながら安代は答えた。二人はまるで,姉妹のように育った。大体、、横山と言う名の通りに二人の住む家のまわりはどちらをみても山しかなくてその山の盆地に田と畑を耕す、民家が3件あるだけであった。その家で生まれた二人は生まれた時からどちらの父でも同じように育てられてきた。いつも一緒であった。二人は互いに陸上部という名目もあったがそれよりも賞金という魅力が参加しようという理由にはあった。やっちゃん、ここらで準備すっかねや?」妙子は道脇にある柳の木の横にある、腰掛のような岩に座りながら言った「んだな。」安代もまたその岩の横にある岩に腰かけて返事を返した。二人は陸上部で着ている、短パンと横山中とかかれた半そでシャツはすでに着ていた、今日の催し行事は、陸上部の顧問の橋本からの通告話を聞いてのことであったが、参加者は以外にも多く県の全中、全高、または、一般からの応募もありということでかなりの規模での参加者が噂としてはあるようだった。  安代は腰かけて右の親指をしばらく眺め親指を持った手でそのo親指を軽く引っ張った、すると、親指はすうっと前に伸びてカチッと音がして止まった。まるで、ボールペンの芯を指で押して、カチッと止まるような音に、似ていた?だがそれは確かに少女の足の指であった。第一母子関節の指である。

指は長さにして大体1cmぐらいだるうか?、 確かに伸びていた。その足にさっと靴下をはかして、シューズにその足をすうっと入れる、さりげなく無操作な、澄んだ瞳の少女の横顔であった。だがその伸びた指のせいか安代の靴は妙子の靴よりもあきらかにサイズが、大きかった。よく,桃上げをぱ妙子は安代のそんな動作を 何気なく見ながら、自分の靴の紐を丁寧にきっちりと閉めていた。「よおーし、さあいぐか~。」妙子は勢いあっと、地面を蹴りつながら誰にでもなく、大きな声でいった。安代も笑いながら妙子をみながらうなずいた。当時 、安代を腹から取り上げた 村でただ一人の産婆は、まず最初に手と足の指の本数を数えた後に 右と左の親指がみえないことに一瞬青ざめた。が、無いのではなく、ただ 異常に短いだけであった。周りにいた家族達も産婆の顔色を見てみんなも同じ顔色になった。赤子をそおっと,寝かして、今度は その小さな親指をそおっと慎重につまんだ。次の瞬間、それをグッと引くとカチッと柔らかい骨が鳴るような音がして、その小さな親指がはすうっと伸びた。「こりゃあ、指の骨が伸びるだな?」

産婆は周りを見ながら、にやりと笑った。普通、人間の骨が伸びるなどということはない。仮にあったとしてもそれは異常である。当時は安代のようにみんなの家で産婆と呼ばれる助産婦に生まれてくる子供は大体がゆだねられてい

て、それに、合わせた処置というか、その後の看護も家族の了解という範囲の中でならば、大抵のことは任せていたという、今の時代では、とても曖昧で とってもいい加減な、出来事がまかり通っていて出産はそれで終わっていたというしかない。しかし人の骨が伸びるということはない。安代の母はその後、あらゆる医者に聞いてもらい診察もしてもらったりはしてみた。そんな結果ある外科医が言うところには、親指の骨に細い太いがあってそれがかさなりあっていて、太いパイプのような骨の溝に細いパイプがうまり、奥歯を噛みながら親指に振動をあたえると細いパイプのような骨が飛び出して溝が埋まるところまで伸びたところで骨がこすれて、カチッと音がするところまで伸びると指がとまる。こんなわけのわからない理屈話を真剣に話した。、パイプに例えられると、水回りの仕事をしていた配管工のいとこには、話は通じた。しかし、奥歯を噛んで、足を地面に蹴りつけると、指がのびるという所はよくわからなかったが、要は、勢いで伸びるん?じゃあないか?1000人に一人の割合で?そうやって医者に言われ時から母は黙った。安代が11か月になった頃、急にいなくなった事件があった。みんなというか、それこそ、近所中,総出で探しまわったことがあった。家のまわりときたら、田んぼ、畑と、山へと続く、一本道しかなかったが、もしかして山へと続いて居る方だとしたらと、みんなは青ざめた。普通11か月足らずで歩行する、子供は数少ない。

安代はしかし、この頃には、すでに走ることをしていた。周囲は、出生から、指が伸びる子供だと知っていたので、ああ?やっぱり、な、というような目でこっそりと眺めてはいた。が、その時のように、山にまで探しにいくことにみんなはうたがいながらも半信半疑でいた。が母親はいってくるといいはった。もうすぐ、夜がせまっている。母親と一緒に父と妙子の父も連れ立った。揃えられる道具を持ち山へと向かった、さすがに目の前の山のことは男たちはわかっていたが、まだ11か月しかない子供へのことを考えると息が苦しくなる程の緊張をもって急ぎ足ででかけた。ここからやまの頂上まではゆうに1000メートルぐらいはあるであろう、しかも暗闇である。野生のキツネとかたぬき、猪とかは入るであろう?山道からは崖下に落ちそうな細い道もあるし、通るのにやっとの細い橋もある。危険で夜などはとても行く人はいない。男二人が山に入っていく後ろ

そして泣きつかれた顔をした安代を抱えた安代の父親も、涙顔でそれから、2時間ぐらい後に帰ってきた。頂上近くの所でうずくまって泣いていたのであった。その事件から安代の噂は町をかけめぐった。まだ11か月の子供が山の上まで登っていった、と?。町に一つしかない幼稚園でも小学校でも、神足の安代という噂は流れるようになり、妙子は、妹として、常にその噂の隣におかれた。しかし、安代の足は噂どころではなく本当に稲妻のように速かった。幼稚園の運動会には、みんなと一緒にスタートをして安代 だけはグラウンドを一周してゴールをするなどあきらかに同じ人よりもスピードが違って、圧倒的に差をつけてゴールをするのでみんなとの競争には見えない。安代が奥歯を噛みカチッと音がして親指がすうっと伸びると伸びた分だけ地上を蹴りつける部分は

足底筋がバネのように地面を飛んで、安代の足は地面を跳ねるように前へと進む、すると、走る速度が急に増して、まるで一瞬にして前へと浮いたように加速する。当時アニメでサイボーグというヒーロー物のマンガが世間の中では、はやっていたが、妙子はそれを見て、安代の奥歯は加速装置のスイッチだと持て囃しながら笑って、おどけた。

いながら走るということを自分のものとして、走ることができるようになった本人もよく自分の体のことは生まれた時からそうだったのでよくは理解ができていなかったので妙子にそうやって囃子たてられながら、半信半疑な思いで笑えた。確かに奥歯をかんでから、走ると速くなる左側にかんしてもそうであり3歳似なる頃には、加速装置を使って走りこなせるまでになっていた。「やっちゃん、右が1で左が2だからね、」妙子はまるで自分のことのように、安代に自慢げに言った。「う、うん、」不安気に安代は答えた。マラソン競技会のスタート地点の近くには大きなドライブインの駐車場があり参加者らしい人達の群れが見える。「けっこうたくさんの人が、いるよ、」妙子は言った。

い嫁をと、いらぬお節介話が飛び交っていて、本人はたまにそのことのぐちを言ったりもしていた。

見た目はそれなりの年齢には見えるし、特にイケメンでもなくぶさいくとかではない、身長も175センチと言っていて、スマートな体型である。二人は唯一橋本とふざけあえる友達みたいな生徒と教師の関係であった